政府系オンライン窓口のなんじゃこら? ~ 行政のDXへの思い

国や行政機関が設置しているオンライン申請のホームページ、たとえば
中小企業庁の持続化給付金申請
国税庁国税電子申告・納税システム(e-tax)
法務省の登記ねっと
などを利用したことがあるでしょうか?
 
これらのサイト、基本的に何をするにもマイナンバーカードが必要です。
そのためPCで操作しようとするとICカードリーダを用意する必要があります。
一般的利用者からすると敷居が高いです。
 そもそも見た目から
「何をしたらいいか、どうすればいいのか」
きわめてわかりにくい印象です。
 
 
法務省の登記ねっと
 
法務省の登記ねっと(登記・供託オンライン申請システム)の利用時間は
平日 午前8時30分から午後9時までなのだそうです。
オンライン申請の利点は24時間いつでも利用可能というのも利点の一つではないかと思うのですが
お役所のサーバー(コンピューター)は公務員の勤務規定に準じるようです。
さらにこのサービスを利用するにあたっては、前もって『事前準備』ということで
『何か正体不明のアプリ』を事前に自分のPCにインストールすることが求められます。
例えば、民間の銀行に口座を申し込むサイトなどで必要項目を入力する前に
何らかのよくわからないアプリをインストールする必要があるとしたらどうでしょうか?
そんなややこしい、怪しいシステムを使う気が起きるでしょうか?
Webアプリケーションの本質(ブラウザ一個で完結する)を理解しておらず
オンラインサービスとしては常識的ではないサイトと考えられます。
いずれにしても「利用者のため」というより明らかに「運用側のお役所や業者などの都合」が優先されている印象を持ってしまいます。
 
 
中小企業庁の持続化給付金申請 
 
持続化給付金申請窓口ホームページで申請しようとすると、添付書類として
給付金の受け取り口座(振込先の銀行口座)の通帳の写真?が必要となります。
これは何のために必要なんでしょうか?
本人確認書類として別途運転免許証の写真などを添付しますので本人確認はそちらでできるはず。
こんな意味不明なことをするから
マイナンバーと銀行口座のひもづけが目的なんじゃないか」
「勝手にマイナンバーと口座がひもづけられちゃうんじゃないか」
などと勘ぐられるんじゃないでしょうか?
結果、ますますマイナンバーのイメージが悪くなるような気がしてしまいます。
 
 
◎HER-SYS
(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)

 新型コロナウイルス感染者等情報を各医療機関や保健所などが入力しやすいように、
そして入力された情報が即座に集約できることなどを目指して構築されたサービスなのだそうです。
こちら、入力項目が130項目もあり使えないそうです。
そういった声を踏まえて40項目まで減らしたそうです。
それでも現在も普及率は数パーセントらしいです。
東京都医師会としては「これは使わない」と決めてしまっているそうです。
理由は医師や看護師、医療機関の負担が大きすぎるからとのことです。
でも、とりあえず至急に取りまとめるのに必要な項目としては、
その日発生した感染者の「年齢」「性別」「居住都道府県」
ぐらいではないかと思うのですがいかがでしょうか。
それ以上の情報については余力に応じて後で追加入力するなどではダメなのでしょうか?
使う側の立場や現状を考えてないからこういう、大仰ではあるけれども使えない
システムができあがるのだと思います。
 
 
 
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■IE専用問題
 
そもそもこれらのサイト、ほぼすべてなぜか対象ブラウザは
 マイクロソフトインターネットエクスプローラー(IE)のみとなっています。
IE専用です。
現在たくさんの人が利用しているChromeは対象ブラウザではないため使えません。
なぜなのでしょうか?
まさか、大昔Windowsが出てきた時代に言われたIEが標準ブラウザーという情報を
未だに引きずっているのでしょうか?
IEしかダメとする積極的な理由は何も考えられないです。
作り手側の立場で言えば多くの場合「IE専用」にする方が手間がかかります。
利用者からすればChromeを通常使っていて、いざ必要項目を入力しようとしたところで
ブラウザをIEに切り替えることが必要になります。初心者の場合この操作が結構困難な操作となります。さらにChromeとIEの操作方法の違が違うことに少なからず戸惑うことになります。
 
開発した業者の都合なのかお役所の担当者の好みなのか?
単にChrome対応をケチっているのか?
一番考えられるのは役所で使っているブラウザーがIEだから自分たちが使いやすいようにということが考えられますが、万一そうであれば使う側の利便性を第一に考えていただきたいと思います。 *1
 
同業者として大変疑問を持たざるを得ないのが、これらのシステムを検収(開発会社に対して"これでいいですよ"というお墨付きを与えること)した各役所の担当者は何を見てどこを評価してハンコを押したのかということです。
 
 
■浮世離れしてます
 
e-taxにしてもHER-SYSにしても
ヒトコトで言えばまさに
「浮世離れしている」
非常識なUI(ユーザーインターフェース=利用者が入力する方法)になっていると評価せざるを得ません。
利用者にとって嫌がらせとも思える位の障壁・障害が至る所に仕組まれています。
本当はこのシステムを使わせたくないんじゃないかと勘ぐりたくなるくらいです。
これらのシステムの開発にかかわった役所側の担当者、そして開発を実際に行った業者は
何のために、何を目指してこのシステムを作ったのかを理解してないのではないでしょうか。
 
 
■デジタル時代のパスポート
 
マイナンバーについては新閣僚の平井卓也デジタル改革担当相も
「誰のために作られたシステムなのかを意識して根本から作り直す必要がある」
という趣旨のことをおっしゃっています。
もっともだと思います。
元々国民総背番号制からの発想を引きずっている現状のマイナンバーの悪いイメージを払しょくするためは、根本から考え直して制度を作り直す必要があります。
平井大臣は
マイナンバーをデジタル時代のパスポートとして普及させたい」
とおっしゃっていますが、そのようなブランド化は大変有効な一手であると考えて大賛成するとともに心から応援したいと思います。*2
ぜひ実行していただきたいと思います。
 
 
■誰が作った?
 
また、上述のホームページについては各役所内ですべてを作成したわけではないと思います。
普通に考えて『どこか専門?の業者』などに外注して作成したと考えられます。
その業者はどこなのか?
作成した業者などについて、その「社名」などは公表されていますでしょうか?
そしてこうした業者はどのような過程で選定されているのでしょうか?
議員さんのコネとか既得権の関係で選ばれてたりするのでしょうか?
開発業者にとってはこういう国や公的機関からのシステム開発の受注などの実績は自社の「ウリ」となりますので、積極的にプレスリリースなどで大々的に公表してもいいはずなのですがそういった情報にほとんど接することがありません。*3*4
大変ナゾであり、同じような業態を営む会社の代表としてはとても知りたい情報です。
 
 
■わたしなら。。。
 
不遜に聞こえることを承知で言わせていただくなら、
上で触れたサイトを見ていると「この程度のクオリティならわれわれ零細な弱小システム開発業者でも十分参入できるという感じがしてなりません。
少なくともそれらより利用者を意識した利用者のためのサービスを創る自信があります。
 
コロナ禍を通して日本社会にも行政のデジタル化の必要性が認識されその気運が醸成されつつあります。*5
変われるとしたら今しかないと思います。
今回の菅内閣のなかで今後、平井デジタル改革担当相・河野行革大臣が行う行政改革に本当に期待しています。彼らならば今度こそやっていただけそうな気がしています。
 
当社としてもそのお手伝いをさせていただきたいと考えており、
その一翼を担うことができるよう各方面にアプローチしていきたいと考えています。
(今年の当社目標)
  
                                                                                                         合同会社んぱんぱ 代表 のはらたつお     
                                                                                                                                                               
                                                                                                                                                                       

 

*1:事前準備でインストールしなければならないアプリがIE専用となっていることが大きいのかもしれません。しかしそれもChrome対応に改修すればよいだけでありユーザーファーストの観点からそれを躊躇するべきではありません。そもそも『事前準備』なる意味不明なものをやめればいいのです。

*2:利用者像(ペルソナ)の設定やブランド化はマーケティングの考え方の中で必ず検討すべき重要な項目となっています。

*3:単に私の調査力不足、勉強不足なのかもしれません。

*4:こちらで実績として公開されています。https://www.alpha-se.com/business_develop.html

*5:ただしデジタルリテラシーのレベルが比較的低い層には未だ理解が不足している状況もあります