マイナンバーカードの普及は必要か?


 内閣府によると
マイナンバーとは
「日本国内の全住民に指定・通知されている12桁の番号です。」
としています。
つまり日本に住んでいる人は全員それぞれマイナンバー(12桁の番号)をすでに割り当てられているのです。マイナンバー自体は国民全員に否応なく付与されており、日本に住んでいる限り「持つ・持たない」の選択肢はありません。

 そして
マイナンバーカード
マイナンバーの通知後、個人の申請により交付される顔写真入りのプラスチック製カードです。」
と説明されています。
こちらは「持つ・持たない」は個人の自由です。
マイナンバーカードは上にもあるように、単なるプラスチックでできたカード*1です。そのカード面にマイナンバーが書かれています。
マイナンバーカードを持つメリットは、
カード表面にマイナンバーがかかれているので自分のマイナンバーをすぐ手元で確認できることと顔写真がついているので公の身分証明書になります。*2またICがカードに埋め込まれておりその中に多少の個人情報が記録されています。
デメリットは紛失したり盗難に遭ったりしたときに自分のマイナンバーが知られて悪用される可能性があることです。これは銀行のキャッシュカード、クレジットカード、免許証などと同じです。

結局、マイナンバー自体が危険なのではなく、マイナンバーカードが悪意を持った人物に渡りマイナンバーに紐づく個人情報が悪用されることが心配なのです。
したがって、そもそもマイナンバーをカードに表示したり、記入したり、保存したり、といったことをやめてしまえばそういった心配はなくなります。


 マイナンバーカードの仕様はもう古い

たとえば、銀行のキャッシュカードには券面に口座番号が書いてあり、マイナンバーカードには券面にマイナンバーが書かれています。
またどちらも暗証番号(パスワード)が設定されており、たやすく悪用されないようになっています。
両者はこのような面でよく似ていおり、実はマイナンバーカードの実体(しくみ)は普通の銀行のキャッシュカードと大差ないのです。
だからキャッシュカードと同じように紛失したり盗難に遭ったりしたらその情報が抜き取られ盗まれる可能性があります。
情報が盗まれた結果、キャッシュカードの場合は銀行の預金が盗られる可能性がありますし、マイナンバーカードの場合は個人情報そのものが盗られる可能性があります。
セキュリティの面でもマイナンバーカードはキャッシュカードと大差ないとされており、これから普及を目指すモノとしてふさわしいかどうか疑問視されています。*3
こういったことから、何が何でもマイナンバーカードの普及を目指すという方針が良いのかどうかもう一度考え直すべきではないかと思います。


■カードが必要か?

「カードを紛失」したり「カードが盗難」に遭ったりすることで被害を被るのは『カード』が存在するからであって、当たり前ですが物理的な『カード』そのものが無ければ起きない被害です。
したがって理想としてはそういった物理的な『カード』を無くせば良いのです。そうすれば上のような情報の悪用問題はなくなるはずです。
ご存じのようにもうすでに銀行の取引などはスマホで完結する時代になりつつあります。
それにならってマイナンバーもスマホの中に保存してマイナンバーを使ったサービスなどもスマホ内で完結するようにすればよいというアイデアが出ています。
そうすればスマホと別にマイナンバーカードを持ち歩くという手間が省け、カードを無くすといったケースを減らすことができます。


マイナンバーカードのスマホ化の課題と有利性

もちろんスマホを紛失したり、盗難に遭ったりすることで悪用される危険性についてはカードと同じことが懸念されます。
したがってマイナンバーをスマホに入れるにあたっては仮にそういった事態になっても情報を守れる仕組みを導入することが何よりも重要です。
その点(セキュリティ)についてはカードと同じ思想が不可欠です。
ただカードの場合にはハードウエア的にそれほど大掛かりなセキュリティ対策を組み込むことは出来ませんが、スマホについてはマイナンバーの保存や利用時のセキュリティについていくらでも工夫をすることが可能です。
こういった意味でもレガシーなカードよりもスマホマイナンバーを管理する可能性についてもっと議論されるべきだと思います。


 ■マイナンバーをスマホ統合

ここまで述べたように、
行政もいまのように「マイナンバーカードの発行数を増やす」ことのみに固執することなく、スマホ連動などでさらに利用者の利便と利益を最大化するべく、柔軟に方針を考え直してみるべきではないかと考えます。*4
兎にも角にも、遅かれ早かれこれから、ある意味『カード』という過去の遺物を持ち歩く時代ではなくなってゆくことは確実です。
クレジットカード、キャッシュカード、免許証、保険証、すべてその情報さえ手元にあればいいのであって、『カード』は必要ないのです。
その入れ物としてスマホは最高に便利で最適な環境を提供すると思います。 


■カードを所持して管理する姿こそアナログチック

マスコミなどでもマイナンバーカードの普及率が低いことが問題であるとされていますが、カードの普及率とマイナンバーの活用が進んでいないこととは全く別のハナシなのです。
極端に言えば、マイナンバー12ケタと暗証番号4ケタを各自が記憶して各行政サービスなどをスマホやPCから利用しようとするときにその都度入力することができれば、カードは必要ないのです。
これらの12ケタなり4ケタなりを記憶しておく場所としてカードを使うかスマホにするかというハナシでなのです。
お財布の中を確認してみてください。
キャッシュカードやクレジットカード、免許証などもはいっているかもしれません。その他、行きつけのお店・スーパーのポイントカードや診察券、ジムの会員証、社員証、保険証などが入っている人も多いでしょう。
わたしはこういったカードを複数所持して手作業で管理すること自体がアナログチックでデジタル化の思想に逆行してるように感じています。
ご存じの方も多いと思いますが、それらのカードはどんどんスマホに入るようになっています(スマホのアプリ化しています)。
マイナンバー(マイナンバーカード)がそうならないでいる理由は無いと思うし、そうなっていくことがおそらく無理のない流れではないかと思うのですが、
いかがでしょうか? 



マイナンバー




*1:キャッシュカードや運転免許証に似たサイズ・質感

*2:住民票がコンビニで受け取れるといった「マイナンバーカードがあれば利用できるサービス」がいくつか提供されており、これを利用できるというメリットもあります

*3:ハードウエア的に比較的古い技術

*4:おそらく、マイナンバーカードを所持することを前提に作られたサービスがすでに動き出しており、その路線をこれからも踏襲していきたいというのが省庁の考えだとは思いますが、万一そうならこの際その辺りもデジタル庁に打破していただきたいと期待しています